着物を大事に保管する上で最大の敵は、「湿気」と「虫」です。虫を防ぐには、物理的に完全密閉してしまえばいい訳ですが、それだけで完全防湿も兼ねられるものではありません。また、着物を構成する絹素材は非常にデリケートなバイオ素材ですので、適度な風通しも必要とします。そうしないと、着物が傷んでしまいます。ただ、一方で風通しが良ければ虫食いの問題も出来くるので、着物をしっかり保管するためにはまずは防虫対策をしっかりやるということがとても重要です。

最強ツール桐の箪笥

よく着物を保管する家具は桐の箪笥を使いますよね。昔の日本の家庭には必ず桐の箪笥がありました。今の日本人は着物を着る機会物ないので、あまり桐の箪笥は身近にはありません。ところが、着物にとってこの桐の箪笥は
・害虫の侵入を阻止する
・適度な通気性まで兼ね備えている
・収納具そのものも変質しにくい
という、まさに着物を保管する上では最強のツールです。

ただ、桐の箪笥は、ものすごく高価であるということもあって、コストパフォマンスはよくありません。特に今の日本人は着物を着る機会はなにかのイベント、例えばお子さんの入学式、卒業式、冠婚葬祭などしか着る機会がありませんよね。洋服に比べると着物は今の一般的には日本人には身近ではありません。そのため、家で使っている家具を有効に使用して防虫対策をするほうが現実的だと思います。

着物のオススメ防虫対策

では、一般的に防虫対策をというと、どういう方法があるのでしょうか。

衣類を荒らす害虫は、主に夏場に発生しますので、6月に貼った頃には特に気をつけましょう。では実際に防虫対策として、樟脳やナフタリンなどのいわゆる防虫剤使いますけれども、これらの対策が防虫対策として完璧かというと実はそうではありません。これらの防虫剤を使うと、和服を傷める原因となるからです。防虫剤というのは大抵揮発性で、固形の薬剤が揮発する時に発生するガスが害虫に作用します。この防虫剤の特性というのは害虫さえいなければ、着物には悪影響を与える可能性があります。その理由は防虫剤を長時間衣類に接触するような使い方をすると、衣類の繊維を崩壊させることや、特に絹ものは変色、変質させてしまうケースがあるからです。また、古くから使用される樟脳は、他の揮発性防虫剤(ナフタリンやパラジクロルベンゼンを主成分とするもの)と混ぜて使うと、溶解して衣類に付着することもありますので注意が必要です。

では、防虫剤をどのように使えばいいのかということになりますが、防虫剤を使用する際は、基本的に一つの引き出しに対し1種類だけ使うようにしましょう。また、ほとんどの製品が和紙などで包んでありますが、絶対に中の薬剤が直接衣類に接触するような使い方は避けてましょう。それから、防虫剤が揮発するときに発生するガスは空気よりも重いので、防虫剤はなるべく箱の上側に置くようにします。よく防虫剤を引き出しの底に敷き詰めているのを見かけますが、実は効果ありません。

着物の防虫対策としては、前述したように正絹の着物とウールやモスリンの着物は別の棚に保管するようにするのがおすすめです。その場合、正絹系の着物はデリケートなので、防虫剤は入れ内容んします。ただ、毛素材であるウールやモスリンの着物にはたっぷり防虫剤を入れることをおすすめします。その理由としては見師に食われるのが、毛素材の着物ですし、正絹系の着物は防虫剤によって変色してしまうので、防虫剤は入れません。また、防虫シート代わりに新聞紙を引き出しの底に敷いて使いましょう。これは害虫が新聞に使われているインクの臭い嫌うためで、これだけでもかなり効果はあります。なお、畳紙に包んでいない衣類は念のためインクの付着などに注意した方がいいでしょう。